材料の構造と特性は密接に関係しており、材料の作り方(プロセス)を少し工夫するだけで構造が変化し、その結果、特性や機能も大きく変わることがあります。これは材料研究において非常に重要であると同時に、非常に難しい課題です。本研究室では、目的とする性能や機能を引き出すために、材料の合成方法、構造、そしてそれに対応する特性(活性)との関係を、独自の測定技術や解析手法をもちい、詳しく探求しています。こうした関係性を深く理解することで、エネルギーや環境問題の解決に貢献する優れた材料を生み出し、私たちの生活を支える技術のさらなる発展に貢献することを目指しています。
光触媒を使ったエネルギー変換反応――たとえば、水を分解して水素や酸素をつくる反応や、二酸化炭素や窒素を資源として有効活用する反応など――は、植物の光合成にならって「人工光合成」とよばれています。これらの反応は、太陽光という無尽蔵に地球にふりそそぐエネルギーを使える可能性があるため、持続可能な社会を目指すうえで近年とても注目されています。しかし、これらの反応には複数の電子がかかわる「多電子移動反応」が含まれており、高い性能をもつ光触媒材料をつくるには、まだ多くの課題があります。私たちの研究室では、こうした多電子移動反応の性能を左右する「カギ(=支配因子)」を明らかにすることを目指して、研究を進めています。
研究論文1:https://doi.org/10.1246/cl.171093
研究論文2:https://doi.org/10.1063/5.0014913
材料の構造とその特性は密接につながっています。材料の作り方(プロセス)を少し変えるだけで材料の中の構造が変化し、それによって特性や機能も大きく変わることがあります。では、どんな材料を、どのように作れば、目的とする性能や機能をもっと高められるのでしょうか。私たちの研究室では、材料の合成方法、できあがった材料の構造、そしてそれにともなう特性(たとえば反応の活性など)の関係を詳しく調べ、新しい光触媒やその作り方の開発に取り組んでいます。
研究論文1:https://doi.org/10.3390/catal8110542
研究論文2:https://doi.org/10.1246/cl.200804
無機固体材料をあつかうときに気をつけなければならないことのひとつに、材料の不均一性があります。たとえば、無機の粉末材料では、粉末の結晶構造や大きさが同じでも、粉末の「表面構造」は必ずしも同じにはなりません。これまでは、そうした表面構造の違いを巨視的に測る方法がなく、それが研究上の大きな課題になっていました。私たちの研究室では、このような無機固体材料の表面構造を巨視的に評価できる新しい測定技術を開発してきました。この技術により、これまで測定が難しかった材料の特性を明らかにできるようになり、光触媒や触媒材料、電極材料など、さまざまな分野への応用ができ、環境にやさしいエネルギー技術の進展に大きく貢献できると考えています。
研究論文1(日本語の解説):https://doi.org/10.4164/sptj.54.560
研究論文2:https://doi.org/10.1039/C6CC04999K
私たちの研究室では、無機化学、電気化学、光化学、表面科学、分析化学など幅広い知識と技術をくみあわせ、新しい材料をデザインし、これまでにない性能や機能を引き出すことを目指しています。基礎研究を大切にしながら、えられた知見や開発した材料・技術を、ものづくりや産業応用へつなげていくことも重要なテーマです。こうした挑戦は一人では成しえません。国内外の研究者との連携や、学生のみなさんとの活発な議論を通じて、新しいアイデアや研究の方向性が生まれています。「科学の力で未来を変える」――この思いに共感し、ともに挑戦してくれる学生を私たちは歓迎します。2025年度から新たにはじまった研究室で、エネルギーや環境の未来を一緒に切り拓いていきませんか。