Lab / Faculty

⽥中研究室

エネルギー・環境

無機・分析化学

人類の持続的繁栄に向けた発電/蓄電デバイスの開発

エネルギー問題に対する危機感の広がりと共に、クリーンかつ高効率な発電システム、信頼性に優れた蓄電システムの迅速な普及が望まれています。本研究室では、元素とプロセッシング手法の多様性によりあらゆる機能を生み出すことが可能な無機材料をベースに、燃料電池や二次電池を始め、キャパシタや振動発電機に至る様々な発電/蓄電デバイスの開発を行っています。論理的に真理を追究する姿勢と、大胆な発想でモノを創る姿勢を共に大事にしつつ、人類の持続的繁栄に貢献する次世代デバイスを世に送り出すため日々頑張っています。

主な研究テーマ

1)振動発電システム関連材料/静電式環境振動発電用セラミックエレクトレットの開発

日常生活においては、人間や輸送機の移動などにより1~100 Hzの低エネルギー振動(環境振動)が常に発生しています。最近、公害と見なされていたこの環境振動を電力源として利用する技術の開発が活発化してきました。ただし、出力密度が微小であるため、未だ本格的な普及には至っていません。

◎ 静電気を半永久的に保持する材料である「エレクトレット」を利用する振動-電力変換方式である「静電式振動発電システム」用の発電素子として、高い表面電位を安定に保持するセラミック製のエレクトレットを新たに開発することで、飛躍的な出力密度の向上を目指します。

2)固体高分子形燃料電池(PEFC)関連材料/白金削減技術の確立/脱白金触媒の開発

PEFCは各種燃料電池の中でも安全性に優れ、小型軽量化も容易であるため、家庭用などの小規模電源や自動車への応用に適した市場性の高いシステムです。ただし、駆動温度の低さ( ~90℃)に起因する、空気極側での大きな反応抵抗が出力密度を下げる一因となっており、希少かつ高価な白金系触媒の使用量を抑えつつ触媒活性(反応速度)を飛躍的に高める技術の確立が求められています。

◎ 白金と炭素の相互作用に基づく白金触媒の飛躍的な活性向上や、白金を用いない酸化物系触媒の開発を目指します。

3)固体酸化物形燃料電池(SOFC)関連材料/中温作動型次世代固体電解質の開発

貴金属触媒が不要で発電効率が高く、燃料選択幅が広いといった様々な利点を持つSOFCは、今後ますます需要を伸ばしてゆくものと考えられます。ただし、現在実用化され、あるいは盛んに研究が進められているSOFC用の電解質には、希土類を含む希少な重金属が多く使用されています。

◎ 骨の主成分として知られ、Ca2+、PO43-、CO32-及びOH-という軽元素のみから構成される「B型炭酸アパタイト」(B-CA)をはじめとする「アパタイト系化合物」をベースに、稀少元素を含まない革新的SOFC用電解質を開発するとともに、アパタイト系電解質に適した新たなSOFC構成の構築を目指します。(600℃で実用に資する導電率を示すアパタイト系電解質の作製に成功しています。)

4)その他
積層セラミックコンデンサの信頼性評価・全固体リチウムイオン二次電池の界面分極現象の解明・冷熱利用CO2 回収システム用構造部材の信頼性評価など

材料やデバイスの機能・性能は、これらを構成する物質の個々の物性のみならず、物質内外にあらゆるスケールレベルで存在する表面・界面の状態によって大きく左右されます。すなわち、材料やデバイスの開発研究にとって、表面・界面の理解と制御は非常に重要な課題です。

◎ 無機材料が関与する表面・界面を設計・作製するとともに、その状態や機能をきちんと計測・制御することで、表面・界面現象を利用した革新的な材料・デバイスの創成につなげることを目指します。

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